2017年1月4日水曜日

「ダウントンアビ―」の衣装


お正月の休みは、
前から見たかった「ダウントンアビ―」をアマゾンプライムで見つけて、
見始めました。
とりあえず、シーズン1とシーズン2は見終わった。
三姉妹がいて、遺産を相続できないという話は、
あら、ジェーン・オースティンの「高慢と偏見」じゃないのというところから、
「ダウントンアビ―」は始まります。

それにしても、御見事な脚本で、
キャラクター設定とロケーション、時代考証がしっかりできていれば、
エピソードはいくらでも作れるという典型のドラマでした。

で、もちろん衣装をチェックです。
イギリスのドラマですから、
時代考証はきっちりなされているはずという前提です。
お話はタイタニック号が沈んだときから始まるので、
1912年から、
で、第二シーズンの終わりが1920年。

チェックすべき点はいろいろあるのですが、
まずは繊維の発展です。
ぴったりする手袋、たぶんジャージーの手袋、
それからヴェルヴェットとシフォン、レースなど、
工業製品と思わせる立派な生地が各種登場。
そして、最初のほうだけ少しコルセットが出てきますが、
1920年も近くになると、
いわゆる1920年代スタイル、
そしてシャネルが出てきた時代と重なります。
ですから、ウエストマークがないずどんとしたドレス、
そしてジャージードレス、
またパンツルックの登場が見どころとなるでしょう。

途中、婦人参政権を夢見る三女がパンツスタイルのドレスを着用して、
家族を驚かせるのですが、
その後のシーンでは、二女が農家の手伝いに行く際にパンツをはいていたりして、
作業の際には女性はパンツをはいていたのかなともとれる演出がありました。
ただ、普通はズボンははきません。

で、第一次世界大戦でトレンチコートが出てきて、
戦争が終わると、スカートが短くなるというせりふがあります。
やっぱりというか、予想どおりというか、
近代的な戦争を通して、女性が着るものが変わってきたのだと思います。
つまり、戦争後には、より活動的に、男性に近くなるのです。
なかなか興味深い。

あと私は特に、セーターやカーディガンってどういう際に着ていたのだろうかと観察していたのですが、
やはり寝巻の上に羽織ったり、
散歩に行くときに羽織ったりと、
完全にリラックスするときのもののようです。

近代の洋服の発展は、この第一次世界大戦から第二次世界大戦にかけて劇的だったのだと
思います。
コルセットがなくなり、
スカート丈が短くなり、
ジャージードレスとパンツルックの登場。
それは戦争を通して、働き手としての女性があらわれたことと、
無縁ではないでしょう。
そしてそれが行きついたのが今。
だから、ほとんど労働着になってしまった。

「社会」というのは、なにも経済活動だけを指すものではありません。
生きているだけで、人は社会の一員です。
「女性の社会進出」という言葉は、
正確ではありません。
また「ダウントンアビ―」を見てもわかるとおり、
労働者階級や農家の出身の女性は、侍女や召使として働いています。
もちろん農家の奥さんも働いています。
衣服の変化は、
戦争により男性の働き手がいなくなったことによる、
女性の近代的な労働者化の進展によってもたらされたと言ってもいいのではないでしょうか。
(ただし、私は外国暮らしの経験がないので、
本当のところはわかりません。
きっと生活してわかる部分があるだろうと思います。)

労働者でいると、フェミニンなドレスは衰退してしまいます。
それでいいのかいけないのか、ということの問いに対する答え、
つまり、それはよくないでしょうというのが、
ここ最近のファッションが出した答えなのではないでしょうか。
それじゃいけないよと。

早く続きを見なければ。

☆写真:飾り気のない真っ黒な衣服の女性って、使用人なんですよね。使用人イコール労働者ですから。


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