2014年6月10日火曜日

コンクールの優勝者はどこへ?

ブンカにいたときの話ですが、
ファッションのコンクールがさまざまありました。
ほとんどは学生か、または卒業後3年以内ぐらいの人が応募できます。
有名なのは雑誌の「装苑」がやっている装苑賞。
ヨージさんを含めた、有名なデザイナーが選考委員です。
だから、学生にとって、それに選ばれるということは、
ものすごく名誉なことです。
当然、将来は約束された、と錯覚してしまいます。

しかし、後年になってわかることですが、
たくさんあったコンクールの優勝者のほとんどは、
デザイナーとしては成功していません。
彼らは、コンクールに勝つのは得意なものたちだったのですが、
実際の服作りには不向きなものたちなのでした。

だいたい、コンクールで優勝するような人の作る服は、着られません。
大きなオブジェみたいなものを背負って歩くみたいな感じです。
婦人服向けのコンクールなのですが、
そんなの着る女の人はいないよね、という服ばかりでした。

なぜ選考委員のデザイナーたちは、
そんな着られない服ばかりを選び続けるのか、
理由はわかりません。
ショーとしての見世物には、確かになったかもしれませんが、
選ばれたとしても、その後のキャリアには何のたしにもならないのですから、
意図するところは不明です。
(かえって、下手に持ち上げられてプライドが高くなり、
キャリアの邪魔になったかもしれません)

不明なのですが、私が察するに、
選考委員会のデザイナーたちは、
無意識に、本当に実力のあるデザイナーを選ばないのだと思います。
なぜなら、ライバルになっては困るから。
育てる視点を持った人と、
同じ地平に並ぶデザイナーとではおのずから選ぶものが違うはずです。
選考委員が同業者ばかりというコンクールで優勝しても、
その後、活躍できない場合が多いのはそのためかなと思います。

コンクールで優勝して、
余計なプライドを背負って、世間の荒海へ出航した、
あの20代の若者たちは、今ごろ何をしているのでしょうか。
もう服作りはやめたかな。
人が着られない服作りに情熱をかけてしまったのですから、
それも仕方のないことだと思います。

つまり、ある小さい世界で認められなかったとしても、
気にすることはないということです。
それはその人たちの単なる好み。
違う世界にうつったら、違う価値観が存在します。
コンクールでさえ、その程度のものだということです。

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