2014年2月25日火曜日

ファッションは森へと向かう

クロエの春夏のキャンペーンの短いフィルムを見ました。
二人の女性(1人はルー・ドワイヨン)が森の中を走っています。
普通、ハイブランドの服を着て、森の中は走りません。
しかし、ここではあえて「森」の場面を選んでいます。

衣装デザイナーは、いつも背景、人物、照明、その他の人物を考えて衣装を作りますが、
クロエのキャンペーンでは、このうち、背景、そして照明に「森」が選ばれました。
何も考えずに見れば、気にせず通り過ぎるところですが、
ここにはメッセージが隠されています。

ここのところずっと、ファッションの背景として多く使われてきたのは都会、
または室内でした。
(もちろん、いつだって例外はありです)
都会で過ごすための服、人工的な照明の似合う服でした。
だけれども、ここ最近の服を見ていると、
都会には似合わないような、そんな質、色、形のものがふえてきたように感じます。

都会の利点は、お金があるということでしょう。
そこに働く人も、住む人もお金を持っているので、
おのずとその人たちに向けた服作りが多くされてきました。
都会にお金が集まるという点については、今後も変わらないと思いますが、
ファッションは別の方向を向き始めました。
これは何を意味するのか。

たぶん、都会で作られるものがある限界点に達したのでしょう。
そこではもうこれ以上、クリエイティブな表現ができなくなってきたのだと思います。
都会的なものだけが売り物の文化は、そろそろ限界なのでは?

森の中を走るクロエを着た2人の女性を作ったディレクターは、
そんなことまで意図してはいないでしょうけれど、
なんとなくそんなことを考えました。

都会に集まっていたものが解体されて、
みんなで森や海へ逃げるんです。
都会ではもうリラックスできない。
そして森には、まだまだ何かが生産される余地が残っているのだと思います。